男の積極性は、髪の有る無しで決まるのか?

船越英一郎さんとアデランス

ハゲをポジティブに捉えだしてからは、発毛や育毛、
そしてカツラの広告・CMにはほとんど心が動かされなくなりました。
でも、テレビをつけていれば自然に目に入ってきちゃいますから、
たまには「お?」と思うものにぶち当たります。

アデランスのCMも、そのひとつ。
俳優の船越英一郎さんが出演しているバージョン。

2時間ドラマの帝王は、巷で「髪が増えたんじゃないか」と囁かれていました。
そして、「Mr. アデランスコンテスト」にも出席した時点で、
「もう決定的」と言われました。

何が? いや、そう、カツラです。

その後、上記のようなCMに出演したんですから、そうなんでしょう。
高橋克実さんと違い、「髪のある俳優」を選んだということで、
外からとやかく言うことは控えます。

ここで「お?」というか「え?」と感じたのは、
CMに使われているコピーなんです。

「攻める男」というフレーズ。

つまり、自分の夢とか未来とかに、積極的になれる。
このアデランスを着ければ、攻めの姿勢を持つ男に変わることができる。
ーーというストーリーなんでしょう。

CMの作りは、無精ひげの男性がジムでトレーニング中、
近くの若い美女にチラチラ見られる、というもの。

アデランスのCMで、美女がカツラのかっこいい男性をチラチラ見ている、羨ましシチュエーション

結構タイプです、この女の人(笑)

なんかこう、男のシャイな願望がよく出てますね。
ちなみのこの俳優さんは、サーフィンするCMにも出演していたような。
やはり「攻め」「若さ」「かっこよさ」を表しているんでしょう。
(野口尋生さんという方でした)

余談ですがこのサーフィン編、とあるブログで

本物のサーファーはカツラなんかかぶらない。
むしろスキンヘッドの方が多い。
サーフィン知らない人たちが作ったのが丸わかり。

と書かれていました。なるほど。

髪がある方がかっこいいーーそうですか?

一連のCMでは、
「かっこいい方がいいじゃない、男ですから」
というフレーズも使われています。

ここで前提となっているのは、
「髪があってこそのかっこよさ」なんですね。

ハゲていると、男としての自信を失う。
ハゲていると、消極的になっていく。
ハゲていると、モテない。

と言いたいのだと思います。
ターゲットは、自信を失い後ろ向きになっているハゲ・薄毛男性。

あれ、これって「ポジティブヘッド」がアプローチしたい男性と重なりますね。
しかし、立ち位置はまるで正反対です。

僕が主張しているのは、「ハゲでも堂々としていれば、かっこいい」。
そのために、心の持ちようとか頭のお手入れとか服のコーディネートとか、
このブログでずっと語り続けてきました。

別に発毛・増毛・カツラ業界をdisっているわけではありません。
髪があってかっこいいか、髪がなくてかっこいいか。
この2つの立場から本当に自分に合うかっこよさを追求していけばいいのです。

アデランスさんはじめとする業界の皆さんは、
カツラや育毛剤を売るのがお仕事ですから、
髪があった方がカッコいい、というスタンスでいるしかありません。

僕としては、髪があった方がいいかもしれないけれど、
それに固執して、発毛剤を使っても効果のない時に焦ったり、
バレるんじゃないかと不安に思うことのネガティブ面があるのだったら、
ハゲはハゲで堂々とかっこよくなる努力をすればいい。
そんなスタンスです。

おカネがあったらものすごく高価で精巧なカツラを着けてみたいかーー
あるとき友人に訊かれました。少し迷い、僕はこう答えました。

「いや、そのおカネでスーツをオーダーするよ」

やっぱり、一度確立した価値観というものは、
そう簡単に崩れないんです。

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実は、アデランスの広告を作っていた

ハゲスキンの社長に拾われた頃

80年代が始まった頃、僕は社会人になりました。
とある広告制作会社にもぐり込み、コピーライターの名刺を持ったのです。
この世界、名刺に勝手に「コピーライター」と刷ってニヤリと笑えばコピーライター、という有名な言葉がありました。
仲畑貴志さんという、大コピーライターがどこかでおっしゃっていた言葉です。

さて、ブーム渦中のカタカナ職業となった僕は鼻息も荒く、「仕事のできる場」を探していました。
最初の会社には飽きたらなかったのです。
ま、いろいろありまして。

次に見つけた会社は小規模なものの、「東京コピーライターズクラブ」の会員が社長を務めるところでした。
まだ1年弱のキャリアしかない生意気な若造は、面接であることないこと吹きまくり、
そこの会社に入れてもらうこととなりました。
後で振り返ってみると「拾われたかな」という気もします。

その社長、当時50代だったと思いますが、見事なスキンヘッド。
ハゲたから剃っちゃったんだ、と豪快に笑っていました。

あるとき、「お前、まだ実感ないだろうけどアデランスのコピー書け」と言われたのです。
テレビCMは大手代理店がやっていましたから、新聞や雑誌などの小スペース広告がメインです。
実際、禿げてる人の心理などまったくわかりませんが、
いろいろ資料を読んだり過去の広告を調べたりして、原稿用紙に向かいました。

その会社に、営業のIさんという男性がいました。
僕より5つか6つ上でしたから、まだ20代後半。独身。
その人が、典型的な若年性脱毛症、つまりAGAだったのです。
(当時はそういう言葉はもちろんなく、単に『若ハゲ』)

禿げてる人に訊くのがいちばんいいんだけどなぁ。
でも悪いしなぁ。怒っちゃったら困るしなぁ。

ちょっと遠慮して、何も訊かずにコピーをひねくりだしていました。
当時目新しかった「グルーミング」なんて言葉を使ったりしてね。

「ミスターアデランス」になり損なった若ハゲ先輩

可もなく不可もないコピーを書いていた頃、
アデランス社で「ミスターアデランス募集」なんていうキャンペーンを始めました。
若ハゲの人々を募り、いちばんカツラの似合いそうな男性を「ミスターアデランス」に認定、
その人に合ったカツラをプレゼントして、広告キャラクターにするというものでした。

社長はI先輩に、「おい、お前これ応募してみろ。俺が口利いてやるから」と
写真をバシャバシャと撮り、アピール文を口伝てで書かせ、投函してしまいました。

その人、顔立ちは整っていて真面目な雰囲気。
もし髪がフサフサしてたら男前でもてたに違いない。
だけど、ミスターになってカツラかぶって女の人にもてたとしても、
CM見られたらハゲってことわかっちゃうんじゃない?
どうするんだろう……。

要らぬ心配をしつつ日にちが経ち、いよいよ「ミスターアデランス結果発表」!

落選してました。
「俺が口利いてやる」も、役に立たなかったようです。

先輩は何だかホッとした顔をしていました。
実はその頃、縁談が進んでいて、もしミスターになったらどうしよう、
とハラハラしていたというのです。
社長が結婚式のスピーチで何て言うか、心配だったんでしょうね。

初めて招待された結婚式。
若ハゲのままの頭でお礼のスピーチをする先輩は、ちょっと涙ぐんでいたのが印象的でした。

僕は心の中で「よ、いいぞ! ミスターハゲランス!」と喝采を送っていたのです。

 

★登場人物たち。当時の記憶をもとに似顔絵を描いてみました。

その体型通り豪快なハゲスキン

毎朝つるつるに剃り上げてきましたが、時々失敗したせいか頭に血がにじんでいることも。

若年性脱毛症いわゆるAGAで悩んでいた先輩

薄毛でスーツとネクタイ着用だと真面目感が一層際だちます。後頭部まで禿げてましたが、サイドは密度の濃い髪の毛でした。

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