ハゲ的に分析する、ユーミンの「Destiny」

恋の虚しさ、偶然の怖さを歌った名曲

僕たちの世代(1970年代中盤〜80年代に青春期を送った人間)にとって、
ユーミン=松任谷由実・荒井由実は、神です。

彼女のデビューは衝撃的でした。
それまで、シンガー&ソングライターというのは
3畳一間に彼女と棲み、赤い手ぬぐいをマフラーにして銭湯に行く、的な世界を
歌い綴ってきた人たちばかりでした。

全共闘なんかとっくの昔にOFFになり、何をやっても社会は変わらない、
だったら右肩が上がりっぱなしの豊かな社会に乗っかって、
楽しく恋愛して面白く暮らした方がいいわい。

そんな気分が満ち始めていた頃のデビューです。

田舎の高校生だった僕なんか、ドレッサーの鏡に口紅で伝言を書く、
なんて光景を歌われて、おったまげたもんです。
「口紅ってクレヨンみたいに使うのか!」とね。

まあそんなこんなで都会の住民となり、住んでたのはアパートながら
ユーミン的な世界に憧れて暮らしていたわけです。
クルマも持ってなかったのにね。

で、このエントリーで採り上げる「Destiny」。
1979年の「悲しいほどお天気」に収録されている大ヒットナンバーです。
ご存知の方も多いでしょうが、
遊び人に振られてしまった女の子が、いつか見返してやろうと女を磨き、
いつも着飾って再会の日を虎視眈々と狙っていた。
でも、出会った時はその日に限って安いサンダルを履いていた、というストーリーです。

もうね、最後の「どうしてなの 今日に限って 安いサンダルを履いてた」には、
頭を殴られたような衝撃を受けました。
そうそう、こんなことあるよな。でもよくこの感覚を歌にできた。やっぱ天才!

恋の虚しさ、偶然の怖さを歌い上げる、名曲……と、ずっと思ってきました、
若いうちは。

ポジティブヘッドがこの状況になったら

中年になってこの曲を再び聴いた時、あれ、と違和感を覚えたのです。

True love と歌ったのは、所詮遊び人のチャラ男です。
そいつを見返すためにおカネをかけた服を着て、他の男からの誘いを断り、
ひたすら再会の日を待っている。

エネルギーを、ネガティブに使いすぎてませんか。

振られてから再会まで何年経ったか知りませんが、
その間、いっぱい別のことができたでしょうに。

右肩上がりの時代だったから、と言ってしまえばそれまでですが、
(まだバブルにも突入していなかった頃)
キラキラした服と磨き上げたクーペの輝きが、妙に虚しいのです、今聴くと。

チャラ男の鼻をあかしたい馬鹿女の嘆き、にしか思えない。

時間は有限。チャラ男なんてそのうちのたれ死にするのよ、と見限って、
True loveとかじゃない真実の愛を見つけてくれよ。

おじさんはそう思います。

さてこれを、ポジティブヘッドに置き換えたらどうでしょうかね。
ハゲ散らかしている時、女の子に振られた。
その後、ポジティブヘッドにしてモテハゲになり、充実した日々を送っている。
そしてある日偶然出会う……。

頭の手入れを忘れてボツボツ伸びた頭であろうと、パンツのチャックが開いていようと、
あなたは昔のあなたではありません。
これがDestiny=運命なのだ、とは思いません。
今日に限ってチャック開けてた、とも思いません。
彼女は、あなたのあまりの変わりように呆然とし、そこまで観察できない。

むしろ、彼女の方が「これはDestiny」とつぶやくかもしれません。
昔振った男にノックアウトされてしまってね。
あなたは金ピカの服を着ていなくても、じゅうぶん輝いています。
もちろん、頭も。

「また付き合ってください」と言われたら、どうします?
「ハゲは嫌いなんじゃなかったかい」と冷たくあしらうか、
「本当の僕を見つけてくれたんだね」と受け入れるか。
ああ、モテハゲってつらいぜ。

どうでしょう。
ハゲ的に解釈した「Destiny」への想いを綴ってきました。

こんな妄想も生まれるほどの名曲ってことなんですね。
ユーミン、もう一回ちゃんと聴きたいなぁ。
だれか、苗場の「Surf & Snow」一緒に行きませんか。

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